フェ●話。なので一応18禁になります。
普段よりリンドウ氏が少しヘタレ…かも。
「ちょっとまて、ソーマ」
突然肩を掴まれ、強い力で顔を上げさせられた。思わず目を瞬かせ、ソーマはリンドウを見上げる。
リンドウは怒っている様な困ったような…苦い、表情をしていた。だがソーマには、何故リンドウがそんな表情をするのか分からない。
そもそも今ソーマが『こんな事』をしているのだって、リンドウが望んだからに他ならないのだ。
ソーマが抗議の意を込めて見返すと、リンドウは首をふった。
「いや…お前に怒ってる訳じゃない。ただ、その……」
リンドウらしくなく言葉を濁らせ、それから大きく息を吐き出した。
「ソーマ、その、俺の前にもこんな事…した事あるのか?」
こんな事…ソーマは今、ベッドに座るリンドウの前に膝をつき、彼の欲望へ手を添えている。止められる前にはそれを、口にまで銜えていたのだ。
ソーマだって男で、男の其処を口にする事に嫌悪感が無い事は無い。それでも相手がリンドウだからこそ、受け入れた行為だと言うのに。
「どう言う…意味だ」
出た声に込められた響きは、怒りではない。沈んだ己の声に、どれほど自分がこの男に飼いならされているのかと…思い知らされた気がして更に気分は沈んだ。
今日はもうこれ以上は…と、身を離そうとして肩を掴んだままの手に止められる。
引き寄せられる勢いで、きつくその胸に抱き寄せられた。
「違うんだ、ソーマ。いや、違わないのかもしれねぇけど」
「……どっちなんだ」
「お前を抱いたのは俺が初めてだったってわかってるし…お前が俺を好きだから受け入れたんだって、ちゃんと理解してる」
「………」
別にソーマはその手振り払ってまで離れようとはしていなかったけれど、リンドウはまるで逃すまいとするようにきつく抱きしめてくる。ソーマですら痛みを感じる締め付けは、一般人なら絞め殺されているレベルの力だろう。
「リンド、ウ…?」
「お前…俺が手を出すまでは、こっちの知識ゼロだったろ?」
「……ああ」
「だからな…俺が触れる前に、どっかのスケベ爺とかに騙されてさせたりとか、無理矢理押さえ込まれてもお前優しいから「怪我させる」とか思ったら逆らいきれなかったりとか……」
「俺はそんな馬鹿じゃねぇぞ」
そもそも、どうしていきなりこんな事を言い出したのかがわからない。リンドウに抱かれたのは、何も今日が初めてと言う訳じゃないのだ。
「なんで、いきなりそんな事……」
「……やけに、手馴れてるなぁと思ったから、な」
「てなれてる?」
抱きしめていた腕が緩み、顔を覗き込まれる。ゴツゴツしたリンドウの指が、そっと唇をなぞった。
「今日初めてやってもらっただろ、フェラ。お前、最初に抱いた時はガチガチで慣れてないのもろわかりだったのに、コレだけ異常に…なれてるから」
だから、心配になったのだと、リンドウは困ったように笑いかけてくる。ソーマは呆れてため息をついた。
「俺は、なぞってる、だけだ」
「なぞってる?」
「お前が、俺にシタ時のを思い出しながら、真似てるだけだ」
言いながら、酷く自分が恥ずかしい事を言っている気がして、ソーマは己の肌の色を感謝する。色白だったならば、きっと今頃真っ赤になったみっともない顔をリンドウにさらす事になっていただろう。
リンドウは目を丸くしてまじまじとソーマを眺め、それから再びきつく抱きしめてきた。
「っ、リンドウ!?」
「あーもう、お前カワイイ!」
そんな事を言うのはお前ぐらいだと、言う前に唇を塞がれる。
巧みなキスに流されベッドに押し倒されながら、お前のこのキスは誰から学んだのだと言いたくなった。