イラストで見かけたので、小話でやってみました。
本当は全部別の人でやりたかったけど…(ソーマが)リンドウを好き過ぎてダメだった。くそう。
でも少しだけ新型→ソーマもあり。主ソマはタイトルに明記しております。
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額の上ならば友情のキス
突然突き飛ばされて、リンドウは驚いてソーマを見る。
思わずマジマジ見つめれば、ソーマは体制を崩したリンドウをキツク睨んでいた。
「ふざけるな」
声は、震えては居ない。だが握った拳は怒りを示すように震えている。
いや、怒りでは…無いのか。
「ソーマ」
泣きそうな顔。震えの納まらぬ拳で、自身の額を擦りながら。
この子供はきっと、接触を知らない。
向けられる優しい感情を、好意を、理解できない。
「二度とするな」
行って背を向ける腕を掴み、引き寄せて再び額へのキス。
「リンドウ!」
振り上げられる拳を押さえ、抱きしめる。
慣れていないのならば、これから教えていけばいい。
余計なお世話だと、ソーマには言われそうだけれど。
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手の上ならば尊敬のキス・頬の上ならば厚意のキス
切れた服の袖を強引に破って、相手はソーマの腕に消毒液をかける。不機嫌そうな行動に見えるが、いつもの事だ。
どうせすぐ治る怪我だと言っても、聞きはしないからそのまま手当てはさせているけれど。
傷薬を塗り込み、ガーゼを被せて包帯を巻く。
手際の良い彼の手をじっと見ていると、その手の甲に何かがついていることに気がついた。
赤い、液体。
血だ。
「おい、お前…」
「んー動くなよ」
アラガミに血はない。当たり前だ。心臓も脳も無いのに、血液だけが流れている筈も無い。
ならば、その血は…。
「よし、終了」
言葉と共に彼はフード越しにソーマの頭を撫で、それからふと気がついたように手を頬に滑らせる。
「お前、顔に汚れがついてるぞ」
汚れていると言うのなら、お前の手の甲も同じだ。
ソーマは拭う為に手を伸ばし、自分の手のほうが汚れている事に気づく。
仕方が無いから舌を伸ばして舐めとれば、相手は体を硬直させた。
「リンドウ?」
「っ、たく、お前は」
呆れきった、声。自分だってこちらの汚れを、拭っていたくせに。
「お前には、まずは常識教えないとな。こっちの心臓がもたねぇ」
意味がわからず目を瞬かせれば、リンドウの大きな手がフードを落とし、それから頬へ、唇を押し当ててきた。
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ゴッドイーターになる前のソマたんは、ラボ育ちで常識知らず。
アナグラに来てから、見かねたリンドウに色々教えてもらった…とかだったら萌える。
そんな私の妄想でした。
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唇の上ならば愛情のキス
そっと唇に触れた柔らかさに、ソーマは慌てて目を閉じた。
触れ合う先、相手が少し笑う気配。
ムカついたけれど、唇同士が触れ合っているから、文句を言うことも出来ない。
「………」
想い会う者同士が行う行為だと教わったけれど、なぜこんな事をするのかいまいちソーマには理解出来なかった。
ただ、リンドウに触れられていると安心する。抱きしめられたり撫でられたり…リンドウには言えないけれど。
なのにこの行為だけは別だった。
嫌ではない。嫌ではないけれど…なぜか鼓動が早まって安心できない。
「ソーマ…」
唇が解かれ抱きしめられても、しばらくは収まらない動悸。
「ソーマ、可愛い」
「……うるさ、い。笑うな」
睨みあげれば、優しく細められた目。
「仕方ないだろ、幸せなんだ」
幸せだから笑うんだと言われて、またなぜか激しくなった動悸に、ソーマは訳もわからず再び目を閉じた。
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瞼の上ならば憧憬のキス(主→ソマ)
「しばらく寝ていれば、回復する」
そう言ってソーマは背を丸め、ソファの上で目を閉じた。
「……ソーマ」
人の気配が有ると休まらない。そんな事を明言していた彼は、だがアラタの目の前で眠りに落ちる。
アラタに心を許した訳ではない。そこまで…ダメージが大きかったのだ。
今回の任務対象に大型アラガミが二体。小型アラガミ数対。アラタ達が居る方に大型が来ていたから、離れた場所で一人戦っているソーマは大丈夫だと思い込んでいた。
任務には無かった、禁忌アラガミが入り込んでいた事も知らずに。
任務対象を倒しソーマの元へ駆け付ければ、ソーマは禁忌アラガミを一人で倒して、大きな怪我を負っていた。
「ゴメン…」
一人で手に余るなら、呼んでくれれば良かったのに、とも思う。だがあの時二体の大型アラガミと対峙していた自分とタツミとカレルに、そちらをフォローする余力は無かったとも思う。
「ゴメンね」
ソファに座って眠るソーマの体を、もっと寝やすい体勢へと変える。ソーマはそれでも目覚めない。
リンドウが行方不明になってから、無理ばかりする彼をアラタには止められない。
「ソーマ」
そっと、眠る瞼へ口付けを落す。
せめてこの眠りが、少しでも彼を癒してくれるように。
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掌の上ならば懇願のキス・腕と首ならば欲望のキス・さてその他は皆狂気の沙汰
ソーマの内部へ欲望をねじ込めば、彼は身を震わせてすがる様に手を伸ばしてくる。
普段の強がりが嘘のように、素直に甘えてくるソーマにリンドウは笑みを浮かべ、その手を取った。
掌へ、そっと口付けを落とす。
「リン…」
「ソーマ…」
そのまま腕に、脇に、肩にそして首筋へと唇を滑らせた。
「…っ!」
ソーマの感じる快楽を示すように、リンドウを飲み込んだ場所が痙攣を繰り返す。
「カワイイ」
いつもなら彼が嫌がる事を耳元でささやいても、ソーマはただ己を襲う快楽に耐えるのに必死で、視線すら向けてはこない。
リンドウは笑ってソーマの背に腕を回すと、一気に身を起こす。
「……ひ……ぁっ!」
突然、更に奥まで貫かれたソーマが、背をそらせてリンドウの肩に爪を立てた。
その痛みすら、愛しい。
そらせた背を引き寄せ、胸元へ唇を寄せる。
中央より少しだけ、左寄り。
このカワイイ生き物を動かす、心臓の上へ。