他のCPも書きたいとか思って頑張ってみた。零可愛いよーと言う叫びを盛り込みすぎて何がなにやら。
零主です。誰が何と言おうとも、書いた本人が零主だと言い張ります。
本当にあった、怖い話。
深夜にふと目が覚めると、布団の脇に人影がありました。
咄嗟に漏れ掛けた悲鳴を飲み込み、枕元に常備していた世界地図へと手を伸ばす。が、すぐにその人影が見覚えのある人物である事に気付いた。
見覚えがある、どころではなく、現在一緒に暮らしている男だ。
「零?」
恐る恐る声をかけると、彼は俯いていた顔を上げる。
月明かりの下でも判る、涙に濡れた頬。
「どうした…?怖い夢でも見たのか?」
むしろ怖い思いをしたのは七代の方であったが、この可愛い零の切なげな涙を見せられてはそれを攻める気にはとてもなれない。
例え泣いていなかったとしても、零には特に甘いのだ、七代と言う男は。
優しく涙を拭い取って顔を覗き込めば、彼の黒目がちな瞳から再び涙が溢れ出した。
「千馗が…」
「俺が?」
「千馗が、花札の、封印を選ぶ、夢を見た」
止め処なくあふれる涙に、七代の胸が苦しくなる。彼はずっと一人で、七代の命を救う為に動いてくれていた。
そして今も、どうしてここまでと七代自身が不思議に思うほど、慕い続けてくれている。
「大丈夫だ、零」
たまらない気持ちになって、七代は零を抱きしめる。
「ちゃんと、俺はここに居るだろ」
零は無言できつく抱きしめてくると、七代の胸へ顔を埋めた。心音を聞いているような、甘えるような仕草に七代は目を細める。
零の気が済むまでとそのままでじっとしていたが、しばらくして気が済んだのか零が身を起こした。
「千馗」
名を呼ばれ、先ほど七代が零にしたように頬を撫でられる。子が親の真似をするような微笑ましさに笑みを浮かべれば、零が顔を寄せて来た。
重なる、唇の熱。
驚きに見開いた視線には、近すぎて焦点を結ばぬ灰の髪が見える。
一度離れ、七代が拒まぬのを確認するように、再びゆっくりと。
驚きから回復すれば、その唇は奪おうとするのではなく縋る必死さばかりが感じられて。
七代は零の背に回していた腕に、力を込める。
今度は抱きしめる為ではなく、この悲しい慟哭を受け入れる為に。
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タイトルは零→主の想いに見せかけて実は零←主の想い。