リンドウ×ソーマ基本の新型(アラタ)→ソーマ。
頬に当てられた何かが冷たくて心地よい。思わずそれに頬を擦り付ければ、「ああ、もう、」唸るような声が降って来た。
何事かと見上げた先、霞む視界に黒い髪が揺れる。
「リンドウさんには、いつもこんな姿見せているの?」
言葉の意味を理解する前に、何かにきつく締め付けられた。
こんな風にフワフワとした心地になった時、何かに締め付けられるのはいつもの事だ。だが、今日はいつもこんな時には必ず感じる、ニオイがない。良いニオイとは言い難いが、安心する独特のニオイ。
これは《違う》と身じろいだが、きつく締め付ける物は外れてくれない。
あれでなければ、嫌なのだ。こんな風に締め付けられ……包まれるのは。突き飛ばそうかと腕に力を込めた時、不意に強い力で肩を掴まれ締め付けから解放された。
「あーらたぁ?」
低い声が聞こえる。
「あれ、リンドウさん」
「お前ねぇ、俺が目を離した隙に、何やってくれるんだよ」
「甘えてくるのが可愛くて、つい。でも抱きしめただけですよ」
「当たり前だ。それ以上やってたらこんなもんじゃすまさねぇぞ」
会話は聞こえるが、霞が買った思考の中では理解までは追いつかない。ただ、ふわりと鼻腔をくすぐるニオイがあった。
「でも、本当に酔っ払ったソーマ可愛いですね」
「だからって酒を飲ませても無駄だぞ。俺が居る時しかこいつ酔わねぇから」
「え?だけど俺にソーマ預けたのってサクヤさんですよ。急用が出来たからって」
「元々俺とソーマで飲んでたんだよ。急な呼び出しくらって、サクヤに預けたってのに」
「あーなるほど」
いつもの、ニオイだ。唯一安心できる、それ。
くんっと鼻をひくつかせ、そのニオイがする方へ身をよせる。
「っと、ソーマ?」
「………っ」
いつもと同じ強さの締め付けと、包まれる温もり。
騒音もなくなりホッと息をつくと、安心して眼を閉じた。
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うちはこれが基本姿勢。新型とのラブラブは一切ないと思われます。
勝手な我が家設定ですが、ソーマは甘党で酒に弱く、だけど気を張ってるから他者と飲んでも酔わない。唯一リンドウの前でだけは酔う。