SSS
忍人柊。むしろ風柊基本な忍人→柊。でも神子と忍人しか出て来ません。
「忍人さんは、柊の事が嫌いなんですか?」
困ったように少女に尋ねられ、忍人は思わず目を見開いた。
「……嫌い、と言う事はない。信用は出来んが」
言えば少女は、少しだけホッとしたように笑った。
嫌い、ではない。それは本当だ。だが、時々どうしようもなく苛立つ。
あの嘘だらけの、舌が何枚もあるような言動。楽しくも無いくせに笑い、悲しくも無いくせに悲しんでみせる。
真実はどこにもない。………いや、真実をけっして見せない男だ。彼の嘘だらけの言動に気付いた時、忍人はそう思った。
だが、知ってしまった。
確かに滅多に真実を覗かせない男だが、時々…本当に稀に、特定の人物へそれを洩らす事がある。
兄弟子の一人である、青い髪の男へは。
なぜそれが、己ではないのか。
わかっている、自分では力不足なのだろう。あるいは未だ、出会った頃の童から、彼の中で成長していないのかもしれない。
それでもその事実は、まるで己が信用されていないようで、悔しかった。自分とて彼を信用していないのに、身勝手な話だとわかっていても。
だから、苛立つ。
嫌いではない。むしろそれとは逆の感情を抱いている。
だが、だからこそ。
「嫌いじゃないなら、もっとちゃんと仲良くして下さい」
少女に言われ、溜息が漏れる。
「それは、命令か?」
「命令じゃなくて、お願いです」
正直ホッとする。命令ならば逆らえない。お願いならば、頭の隅に残しておく程度でも良いだろう。
『第一』忍人は思う。
『仲良くさせたいのなら、己に歩み寄らせるより、あの男に心を開かせろ』と。
言葉には出せないけれど。
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ええと、本当にすみません。柊忍人ではなく、忍人柊です。
実は柊のシナリオを始めた当初は、忍人柊が一押しでした。
ツン攻と飄々受が好物です。
結局、途中で風早柊に持っていかれた訳ですが(心を)、今でも忍人柊が大好きです。