旧サイトから。
九郎×弁慶。
髪を梳く手の優しさに、目が覚めた。
「…起こしたか?」
すまなそうな声に弁慶は微笑み、その手に少し擦り寄るような動きをする。
それだけで、彼は安心したように息をついた。
「すまない…無理を、させたな」
「無理など…」
否定しかけた言葉を、彼は手で遮り
「気遣いぐらい、させてくれ。俺は、」
先の言葉は、想像がつく。
『俺はもう、お前の主ではない』
神を追ってこの世界に来て、結局帰る事は叶わなかった。
皆覚悟はある程度固めていたので、そのままこちらで落ち着く事になって。
一段落付いた後に、九朗が弁慶にその言葉を告げた。
「俺は、お前が好きだ。お前とはもう主従じゃない。だから…嫌ならはっきりと断ってくれ」
真っ直ぐな目。だが、手は少し震えていて。
その言葉を告げるのは、どれ程の勇気が必要だったのだろうか?
今までだってきっと、ずっと悩んでいたのだろう。
主従と言う大きな壁が、二人の間にはあった。
そうだ、だから、弁慶も九郎に、思いを告げる事は出来なかったのだから。
そんな積年の思いを告げあった二人が、初めて体を交わしたのが今夜。
優しく接してくれる九郎には悪いが、あまり気遣われるのも照れくさい。
だから笑う。出来るだけ優しく。
「本当に平気なんですよ、九郎」
「そうか?」
優しく髪を梳いていた手が止まり、その手がゆっくりと弁慶を抱きしめて。
「ならば、良い」
お前が苦しくないのならば、それで良い。
小さな声で告げられる、優しすぎる言葉。
触れ合う肌の温もりと、それから。
「僕は、九郎」
「ん?」
「僕は、君が与えてくれるモノなら、本当は」
痛みだって愛しいのだと。
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こんなモノを書いてますが、まだ真ED見てません。
見た友人に全キャラお持ち帰りだとは聞いたのですが。
なので、見てから直す可能性有です。
ヒノ弁と違って九弁は甘いイメージ。九郎が真っ直ぐ直球だから。