旧サイトから。
景×譲で妄想文
「君は泣いても良いんだよ?」
それこそ泣きそうな笑顔で彼は言った。
「もっと泣いて、我がまま言っても良いんだよ?君は充分頑張っているんだから」
優しい言葉に胸は疼く。だけど。
「俺が、我がままになったら、きっと先輩が困るから」
彼は悲しい笑顔を消して、今度はそっと手を伸ばして。
抱き込まれたのは優しい腕の中。
「なら、ここでだけ」
この腕の中でだけ。
「大人ぶったり、我慢したりしないで」
優しい響きに、こぼれた涙。
ああ、違うけれど。
先輩への思いのような、愛しい感情とは違うけれど。
この人を守りたいと、そう思った。
この優しい人を、腕を。
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景時サイド
優しさの裏側
初めて会った時に、なんて真っ直ぐな子だろうと思った。
一生懸命で優しくて、きれいな目をした少年。
彼が神子を思って苦しんでいる事は、見ていればわかった。
だから、
だから優しさのふりで、彼に手を伸ばしたのだ。
血に濡れない真っ白な彼に、触れてみたかった。抱きしめてみたかった。
許されざる罪を負った自分が、そんな事できれいになれる筈無いとわかっていながら。
「君は泣いても良いんだよ?」
本当はね、譲くん。
泣きたかったのは、オレの方なんだよ。