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□  優しい腕
旧サイトから。
景×譲で妄想文


「君は泣いても良いんだよ?」
それこそ泣きそうな笑顔で彼は言った。
「もっと泣いて、我がまま言っても良いんだよ?君は充分頑張っているんだから」
優しい言葉に胸は疼く。だけど。
「俺が、我がままになったら、きっと先輩が困るから」

彼は悲しい笑顔を消して、今度はそっと手を伸ばして。


抱き込まれたのは優しい腕の中。

「なら、ここでだけ」
この腕の中でだけ。
「大人ぶったり、我慢したりしないで」
優しい響きに、こぼれた涙。

ああ、違うけれど。
先輩への思いのような、愛しい感情とは違うけれど。


この人を守りたいと、そう思った。

この優しい人を、腕を。







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景時サイド

優しさの裏側



初めて会った時に、なんて真っ直ぐな子だろうと思った。
一生懸命で優しくて、きれいな目をした少年。
彼が神子を思って苦しんでいる事は、見ていればわかった。
だから、

だから優しさのふりで、彼に手を伸ばしたのだ。


血に濡れない真っ白な彼に、触れてみたかった。抱きしめてみたかった。
許されざる罪を負った自分が、そんな事できれいになれる筈無いとわかっていながら。
「君は泣いても良いんだよ?」


本当はね、譲くん。
泣きたかったのは、オレの方なんだよ。


プロフィール

アサ

Author:アサ
二次創作を吐き出すブログ。
男同士や男女や女同士の恋愛を扱う物が多いです。
苦手な方はお気をつけ下さい。

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