30題と同じく昔に借りていたお題、5つのキスのお題(http://www.geocities.jp/gensou_yuugi/kiss5.html )です。
またお題かよ!と言う突っ込み可。何だかお題による縛りプレイが癖になったもよう。
今回は「唇以外のキス」。短い雑文ばかりです。しかも今回糖度が以上に高いです。胸焼け注意。
唇以外のキス
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1.子供扱いしないで
告白なんぞをされてうなずいたら、今度は顔を固定され相手の顔が近付いてきた。
とっさに目を閉じれば、額に押し付けられた柔らかなモノ。
流石にこれが、想いを告げ合った者同士の行為じゃない事ぐらい知っている。
「子ども扱いするな」と言いかけて、だが目を開いて相手の顔を見たらそんな気も失せた。
困ったような、だがひどく優しい笑み。
この男から見たら自分など、まだまだ子供なのだと思い知らされた。
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2.泣かないで
大事な子を腕に眠る至福の時。それを遮ったのは冷たい感触だ。
見下ろせば腕の中で、眠りながら泣く大事な恋人。
「どうした?」
優しく声をかければ、褐色の腕が必死にしがみ付いてくる。
「ソーマ?」
「リンド…」
消え入りそうな声。震える肩。
彼の声に、どんな夢を見ているのかが窺い知れた。
夢、いや…過去。
「どこにも、行かない」
だから、そっと耳に囁き、
「そばに居るよ、ソーマ」
その涙に口付けを落す。
もう二度と、消えたりはしないから。
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3.クリームついてるぞ
「クリームついてるぞ」
そんな言葉と共に、頬をぺろりと舐められた。
「っ!」
驚いて横を見れば、案の定リンドウは口を押さえて呻いている。
「馬鹿か、お前」
今ソーマが食べているのは、特務報酬でリンドウがもらった甘いクリームたっぷりの菓子だ。
甘党のソーマの為にそれを用意したこの男は、だがソーマとは真逆で甘い物が大の苦手である。
その二つの事態を合わせて考えれば、ソーマの頬についたクリームを舐めるなど自殺行為もいい所だ。
「甘い物、嫌いなくせに」
「嫌いだけどさ…お前の頬についてるのは、美味そうに見えるんだよな」
呆れきったソーマの目の前で、緑の目が悪戯っぽく細まって
「口直し」
等と言いながら、さらに甘い筈の唇へ喰らいついて来た。
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4.お手をお姫さま
その手にキスを落すと、リンドウは嫌そうな顔をした。
「そんなのにキスするな。俺にしろ」
「この手だって、お前の一部だろ」
一番アラガミを、強く残すその場所。
「それでも、ハンニバルにキスされてるみたいで何だか複雑なんだよ」
子供のような嫉妬を露にした男は、子供ではありえない腕の強さで抱きしめてくると唇を寄せてくる。
「だから、ちゃんと俺にしろよ」
耳元での囁きに何だかひどく恥ずかしくなって、思わずその唇へ噛み付いた。
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5.綺麗だよ
壁に手をつけ、後ろから圧し掛かられて。押し込められた熱い物を、体は喜んで受け入れた。
何度もこの男に抱かれて、今ではこの身は自分の意思より彼の意見を聞き入れる。
それを悔しいとさえ思えない位に、心も彼に慣れさせられた。
「……だ」
後ろで彼が何かを囁く。快楽に狂わされた脳にそれは届かず、ただ首を振っていれば首の後ろに軽く噛み付かれた。
「ひゃ、ぁぁっ!」
思わず漏れた嬌声に、彼が笑う気配。
「ホント、お前は…どこもかしこも……」
そのまま激しく突き上げられ、何も考えられなくなる。
ただ顔の隣に置かれた棘ばった黒い手に己の手を重ね、縋る事しか出来なかった。