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お題にチャレンジ

お題は、現在は配布を終了している『モノカキさんに30のお題』からお借りしていた物です。前に他ジャンルでも使用させて頂いてたのですが、リンソマでも書きたくなりまして。

リンソマ短文ばかりです。文とも呼べない会話だけもあり。ちらりと18禁っぽいのがあるので、一応18禁です。

今回は1~5まで。




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01. はじめまして


「初めまして!新人の雨宮リンドウです!」

「お前、何バカやってんだ?」
 呆れ顔のソーマに、リンドウは頭を掻いた。
「いやぁ、何か照れくさいと言うか…気まずいと言うか」
 久しぶりに帰ったアナグラ。同じようで変わっている仲間達の顔つきと、暖かな視線。
 それだけではなく。
 アラガミ化した腕が突きつけてくる、現実。仲間を襲い、殺しかけた過去。
「照れくさいはわかるが、気まずくなる必要なんてねぇだろ」
 リンドウの心の闇が、わかっているのだろう。ソーマはそっとリンドウの右腕に触れながら。
「はじめましてより、ただいまの方が、きっと皆……俺も、嬉しい」
 リンドウは目を見開いて、少し顔を歪ませながら笑った。



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02. 秘めごと


 あいしてるあいしてるあいしてる。
 体内に渦巻く熱を持て余し、それをソーマの体へと叩き込む。
 拒むように縋るように伸ばされる手を、きつく握り締めて。
「ソーマ…」
 名を呼べば向けられる、潤んだ青。そこに映る、いつもは心の奥深く、秘めた己のケダモノのような表情。
 思わず笑みを浮かべれば、腕の中の体が怯えたようにひくりとはねた。


 ごめんな、愛しすぎて、止まれない。


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03. 鬼


「何か昔、平和な頃にあった漫画でな」
「ん?」
「こーんな腕の教師が出て来るのがあったらしい」
「なんで平和な時代にアラガミの事知ってんだよ、その作者」
「いや、アラガミじゃなくて鬼の手だったらしいけど」
「ふーん…鬼もアラガミも変わんねぇだろ。俺なんて鬼子って呼ばれた事も…」
「ソーマ」
「何だ、いきなり抱きつくな」
「抱きしめてんの。お前が鬼子で俺が鬼の手なら、俺達は同じだな」
「お前と俺は…違うだろ」
「そーかぁ?まぁ、そうか。俺は意識が朦朧としてる時にアラガミ喰ってたみたいだし、俺と一緒にしたらお前に悪…」
「違っ!そうじゃねぇ、お前は…」
「なぁソーマ。俺は、どっちがよりアラガミか、なんて考えるよりもさ、お前と一緒って考える方が嬉しいな」
「リンドウ…」
「お前と一緒だって思えれば、アラガミ化したこの身も、厭わずに居られる」
「……」
「俺達は世界でたった二人の同一存在だ。そうだろ?」
「…ああ」
「愛してる…ソーマ」
「…うん」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 おかしいな。「折角だから今夜は先生プレイしようぜー」「ざけんな!」的なコメディにしようと思ってたのに。


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04. 遊園地


「なんだ、これは」
 一緒に任務に出た少年が、訝しげに辺りを見渡す。
 任務で初めて来た場所だったが、確かに妙な物が目に付いた。籠のいくつかついた大きな輪(と言っても所々ひしゃげているから、『おそらくは円形だった』と言う想像に過ぎないが)や巨大なカップ、昔生存した馬と言う生き物を模した人形まである。こんな物を、昔の情報ライブラリで写真を見た事があった。
「あーこりゃ、遊園地の跡地だな」
「ゆうえんち?」
 聞いた事の無い言葉なのだろう首を傾げる少年に、リンドウは少し考えから、今倒したばかりのアラガミを指し示した。
「何つーのかな。こう言うのが出てくる前にあった、昔の遊び場だ」
「遊び場…」
「その辺にある器具がグルグル回ったり動いたりして、人間がそれに乗って遊ぶ」
 ふうん、と。こういう場所で遊ぶのが一番似合いそうな十代前半の少年はつまらなそうに鼻を鳴らす。
「昔は、無駄なもんが多かったんだな」
「ははは、無駄が多いのは平和な証だ。だけど今の時代でも、余裕は大切だと思うけどな」
「無駄と余裕は違う」
 言って、興味を失ったように、迎えのヘリ見上げる小さな体。
 お前みたいな子供こそ、こういう場所で遊ばせてやりたいんだけどな、とは内心だけに留めて。
「いつか、」
 ありえない夢の話を。
「いつか平和になったら、一緒に行こうぜ、遊園地」

「興味ない」
 少年は小さな呟きと共に、飛行機を模した人形の翼を蹴り壊した。



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05. 雨


 びしょ濡れで帰ってきたソーマに、リンドウは目を丸くした。
「どうしたの、お前それ」
「スコールが来た」
 基本的に雨の降り続ける嘆きの平原で、稀にスコールが起こる事があった。それに運悪く巻き込まれたらしい。
「大丈夫か?ちゃんと温まれよ?」
「ガキ扱いすんな。そこまでヤワじゃねぇ」
 撫でようとした手を振り払われ、リンドウは苦笑して両手を挙げる。
「ガキ扱いじゃなくて、恋人扱い。恋人心配すんのは、当然の事だろうが」
 一瞬の間の後、ソーマの頬が紅に染まった。
 それを隠すように彼は顔を背け、さっさとエレベーターに乗り込み扉を閉めてしまう。

「しかたねぇなぁ」
 照れ屋で意地っ張りな恋人の為に、甘いホットミルクでも作って差し入れよう。
 また『ガキ扱い』だと怒ったら、甘いキスでも添えてやればいい。


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プロフィール

アサ

Author:アサ
二次創作を吐き出すブログ。
男同士や男女や女同士の恋愛を扱う物が多いです。
苦手な方はお気をつけ下さい。

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